50歳からiDeCoを上限いっぱい始めるべきこれだけの理由
執筆者:ファイナンシャルプランナー(CFP)|高山 一恵
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- ためる・ふやす
iDeCoは老後資金を用意するのにぴったりの制度です。でも、これまでiDeCoに加入できる年齢は60歳までだったため、特に50歳を過ぎた方からは「加入期間が短いので今さら利用しても意味がないのでは」という声も聞かれました。しかし、2022年5月のiDeCo制度改正によって、iDeCoに65歳まで加入できるようになりました。そこで今回は、50歳からでもiDeCoを活用した方がいい理由、掛金はなるべく上限いっぱい始めたほうがいい理由を紹介します。
3つの税制優遇が受けられるiDeCo
iDeCoは毎月自分で拠出した掛金を運用して老後の「自分年金」を作る制度。iDeCoの運用成果は、原則として60歳以降に受け取ることができます。年金といえば、国民年金や厚生年金といった公的年金をイメージされる方が多いでしょう。iDeCoは、それら公的年金の上乗せ分を自分で作れる制度のひとつです。
iDeCoの最大のメリットは「拠出時」「運用時」「受取り時」の3つのタイミングで税制優遇が受けられることです。
拠出時:所得税や住民税が軽くなる(※)
iDeCoで支払う掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除の対象になるため、所得税や住民税が軽くなります。
- ※ 軽減額は年収や公的年金などの状況によって異なります。ご自身の課税所得がない場合は所得控除の対象とならない場合がございますのでご注意ください。
運用時:運用で得た利益に税金がかからなくなる(※)
通常、運用で得られた利益には20.315%の源泉分離課税がかかります。しかし、iDeCoで得られた利益には税金が一切かかりません。税金が引かれない分、お金を効率よく増やせます。
- ※ 運用中の年金資産には1.173%の特別法人税がかかりますが、現在は課税が凍結されています。
受取り時:受け取るときにも所得控除がある
iDeCoで運用して築いた資産は、60歳から75歳までの間に一時金か年金で受け取ります。一時金の場合は「退職所得控除」、年金の場合は「公的年金等控除」という所得控除が利用できるため、税金の負担を減らせます。
2022年は、iDeCoの制度改正が相次いで行われています。2022年5月からは、iDeCoに加入できる年齢が「60歳未満」から「65歳未満」と、5年延長されました。
ただし、65歳未満までiDeCoに加入するには、「国民年金の被保険者(加入者)」であることが必要。具体的には、60歳以降も会社員や公務員として働いている人(国民年金の第2号被保険者)や、国民年金の任意加入(国民年金の受給資格を満たしたり、受給額を満額に近づけたりするために、60歳以降に自分で保険料を支払って国民年金に加入すること)をしている人が対象です。自営業・フリーランス(第1号被保険者)や専業主婦(夫)(第3号被保険者)は、60歳になると国民年金の被保険者ではなくなるので、iDeCoには加入できなくなります。
とはいえ、iDeCoの加入期間が5年間延びると、その分掛金を拠出することで得られる所得税・住民税の節税効果が大きくなります。また、運用期間が5年伸びれば、その分得られる運用益非課税の効果や複利効果も大きくなります。なにより、現在50歳の方の場合、加入期間が最長10年から最長15年に延ばせるのです。
所得控除でどれだけ税金が減らせる?
iDeCoの掛金は、全額が所得控除できると紹介しました。税額の減る仕組みを見てみましょう。
税額が決まるまでの流れ
1年間の給与収入から経費にあたる「給与所得控除」を差し引いて「給与所得」を計算します。次に、給与所得からさまざまな「所得控除」を引いて、「課税所得」を求めます。この課税所得に税率をかけて税額が求められるのです。さらに所得税額は、住宅ローン控除などの「税額控除」によって直接差し引くことができます。
iDeCoの掛金は最低でも毎月5,000円からで、1,000円単位で上限金額まで増額できます。iDeCoの掛金の上限金額は、公的年金の種類や企業年金の有無により異なります。たとえば、企業年金のない会社員(第2号被保険者)の場合、月額2万3,000円(年額27万6,000円)となっています。
たとえば、年額27万6,000円の掛金を拠出した場合、この27万6,000円を全額課税所得から減額できる、というわけです。仮に所得税率が5%の人なら、所得税が1万3,800円、住民税(原則10%)が2万7,600円安くなります。つまり、毎年合計4万1,400円も節税できるのです。
この節税を50歳から60歳になるまでの10年間続けて所得税率が変わらなかった場合、節税額は合計で41万4,000円です。しかし、今回の改正で65歳まで15年間続けられるようになります。つまり、節税額の合計は62万1,000円に増加。実に20万円以上も節税額が増やせるのです。
10年間の運用と15年間の運用で成果はどう変わる?
さらにiDeCoの運用効果を見てみましょう。iDeCoでは定期預金や投資信託で運用を行います。お金を増やす観点で考えると、おススメは投資信託。長期・積立・分散投資の力を借りて、堅実な資産形成が見込めます。
50歳から10年間、毎月2万3,000円ずつ10年間運用し、運用利回り年1%・3%・5%で増やせた場合の資産総額は次のようになります。
50歳から10年間運用した場合の資産総額
- ※ 運用商品の成果は相場の変動等によって、元本を下回ることがあります。
元本の276万円が、運用利回り年1%なら290万円、運用利回り年3%なら321万円、運用利回り年5%なら357万円に増やせています。たとえば運用利回り年3%の場合、運用益は321万円―276万円=45万円です。本来、この45万円からは20.315%の源泉分離課税(約9万円)が引かれるのですが、iDeCoなら非課税です。
同様に、50歳から15年間運用した場合はどうなるでしょうか。
50歳から15年間運用した場合の資産総額
- ※ 運用商品の成果は相場の変動等によって、元本を下回ることがあります。
元本の414万円が、運用利回り年1%なら446万円、運用利回り年3%なら522万円、運用利回り年5%なら615万円に増やせています。運用利回り年5%でも、10年間の運用で増えた金額は81万円でしたが、15年間の運用になると201万円と、10年運用した場合と比較して120万円増える計算。複利効果でお金が加速度的に増えていることがわかります。
また、運用利回り年3%の場合、運用益は522万円―414万円=108万円です。本来、この108万円からは20.315%の源泉分離課税(約22万円)が引かれるのですが、iDeCoなら非課税になります。
当然のことながら掛け金が大きいほど、運用益非課税の効果や資産を大きく増やせる可能性が高まるので、できることならiDeCoは上限金額いっぱいまでかけたいですね。
イオン銀行でiDeCoをはじめよう
iDeCoの節税のメリットに加えて、2022年5月からは65歳になるまでiDeCoに加入できるようになったことを紹介しました。運用期間が10年から15年に延びることで、節税できる金額は増えますし、大きな運用益が得られる可能性があります。iDeCoは、50歳からでも遅くありません。ぜひiDeCoを活用して、老後資産を準備していきましょう。
イオン銀行のiDeCoでは、資産運用がはじめてでも選びやすい商品が揃っています。また、金融機関に支払う運営管理手数料も無料(※)。低コストでiDeCoを利用できます。窓口は土日を含めて年中無休で相談できますので、まずは店舗に足を運んでみてくださいね。
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