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【この記事を読んでわかること】
国民年金に加入している方は国民年金保険料を納めることになっています。しかし、失業するなどして国民年金保険料の支払いが難しいこともあるでしょう。そんなときのために、国民年金保険料には「免除」「納付猶予」の制度も用意されています。今回は、国民年金保険料の免除制度と納付猶予制度の仕組みと、免除制度・納付猶予制度を利用した場合に将来の年金額にどのような影響があるのかを紹介します。
2026年度の国民年金保険料は月額1万7,920円です。近年上昇が続いていて、2027年度は月額1万8,290円になります。国民年金保険料は納めるのがルールだとはいえ、年間で21万円以上の出費は決して少ないものではありません。
免除制度は、本人・世帯主・配偶者の前年の所得が大きく減ったり、失業したりして国民年金保険料を納めることが経済的に難しい場合に、所得に応じた国民年金保険料の免除を受けられる制度です。免除された期間については、免除割合に応じて年金額が計算されます。
このことを「申請免除制度」と言い、具体的な免除割合は「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」の4種類があります。前年の所得の状況に応じて、いくら免除されるかが決まります。
一方、猶予制度は、20歳以上50歳未満で本人及び配偶者の前年の所得が一定以下の場合、国民年金保険料の納付猶予を受けられる制度です。免除制度と違い、猶予制度は、年金の支払いを猶予されているだけなので、猶予期間の年金額は計算されません。
国民年金保険料の免除も納付猶予も、自分で申請書を提出して、承認されることではじめて受けることができます。
国民年金保険料の免除・納付猶予は主に「第1号被保険者」を対象とした制度です。
国民年金は、加入している人を職業などによって3つに分類しています。
第1号被保険者:自営業、フリーランス、学生、無職の方など
第2号被保険者:会社員・公務員など
第3号被保険者:会社員・公務員などに扶養されている配偶者
自分がどの分類かによって、国民年金保険料の納め方が異なります。
第1号被保険者:郵送などで届く納付書をもとに自分で納める
第2号被保険者:勤務先を通じて納付(厚生年金保険料に含まれる・給与天引き)
第3号被保険者:自己負担なし(第2号被保険者の保険料に含まれる)
第2号被保険者の国民年金保険料は給与天引きで、第3号被保険者の国民年金保険料は自己負担がありません。従って、国民年金保険料の支払いの免除・猶予は「第1号被保険者」を対象としています。
上記の他にも一定の条件を満たす場合には国民年金保険料を免除・納付猶予できる制度を利用できます。
学生納付特例制度は、大学などに通う20歳以上の学生が申請することで国民年金保険料の納付猶予が受けられる制度です。20歳になると国民年金に加入し、国民年金保険料を納めなくてはなりませんが、学生が学びながら国民年金保険料を納めるのは大変でしょう。その負担を軽減するために用意されています。
生活保護で生活扶助を受けている方や、障害年金の1級・2級を受けている方などは、法定免除制度により国民年金保険料の納付が免除されます。このほか、法令で定められた国立ハンセン病療養所や国立保養所などに入所・療養している方も、法定免除の対象となります。
フリーランスや個人事業主の方など、第1号被保険者が出産する場合、出産予定日または出産日の属する月の前月から4カ月間(多胎妊娠の場合は出産予定日の3カ月前から6カ月間)国民年金保険料が免除されます。
2026年10月からは育児を行う第1号被保険者が利用できる「国民年金保険料の育児免除制度」もスタートします。国民年金第1号被保険者の父母または養父母が1歳未満の子を育てている場合、その子が1歳の誕生日を迎える前月までの国民年金保険料が免除されます。母親は、産前産後期間の4カ月の免除に続く形で最長9カ月間にわたって国民年金保険料が免除になります。父親(養父母)は、子が生まれた月(養育することになった月)から1歳の誕生日の前月までの最長12カ月間にわたって免除になります。
国民年金保険料の免除には上記のとおり、「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」の4種類があります。
前年の所得の状況に応じて、いくら免除されるかが決まります。
免除を受けるための前年の所得の基準は、「前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること」となっています。所得が低いほど、免除される割合が多くなります。
2026年度の国民年金保険料の金額は月1万7,920円ですので、免除を受けた場合の国民年金保険料は以下のようになります。
国民年金保険料の免除制度で免除された期間の年金額(老齢基礎年金の金額)は、国民年金保険料を全額納付した場合よりも減額されます。納める国民年金保険料が少ないのだから、年金額も少なくなってしまうという考え方です。具体的には以下のように減額されます。
減額にはなりますが、免除を利用したとしても年金がもらえなくなるわけではない点を押さえておきましょう。
国民年金保険料を40年(480月)全額納付した場合に65歳からもらえる老齢基礎年金の満額(2026年度・1956年4月2日以後生まれの場合)は84万7,300円です。仮に、40年のうち10年間は全額免除を受けていた場合の年金額は「84万7,300円×(360月+120月×1/2)÷480月=74万1,388円」となります。
また、上記でもお伝えしたように国民年金保険料の納付猶予は、あくまで「国民年金保険料の納付を待ってもらう」というだけですので、国民年金保険料を後から納付しない限り年金額は増えません。
納付猶予を受けるための前年の所得の基準は「全額免除」と同じで「(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円」となっています。
後述しますが、免除・納付猶予を受けた国民年金保険料は、10年以内であれば後から納めることができます。学生納付特例制度の納付猶予も同様です。後から納めることで、年金額は全額納付した場合と同じにできます。年金額を増やすという観点では、後から国民年金保険料を納付した方がよいでしょう。
なお、「産前産後期間の免除制度」「国民年金保険料の育児免除制度」は、国民年金保険料を納めたものとみなされます。後から国民年金保険料を納める必要もなく、将来の年金額が減ることもありませんので、該当する場合は利用しましょう。
国民年金保険料は、納付期限から2年以内に納めず、免除や納付猶予の制度も利用しないでいると「未納」になってしまいます。未納のままにしておくと、年金額が増やせないばかりでなく、年金が受取れなくなってしまう可能性もあります。
老齢基礎年金を受取るには、国民年金保険料を納めた期間(厚生年金保険料などを納めた期間も含む)と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上必要です。また、障害基礎年金や遺族基礎年金を受取るには、原則として「初診日(病気やケガで初めて診療を受けた日)」や「死亡日」のある月の前々月までの期間のうち、3分の2以上の期間で国民年金保険料を納めていることが必要です(2036年3月末までは直近1年の保険料を納めていれば受取れる特例あり)。
免除・納付猶予を受けている期間は、たとえ国民年金保険料を納めていなくても、これらの受給資格期間に加えられます。しかし、国民年金保険料を未納にしている期間は、受給資格期間に加えられません。
<国民年金保険料の納付方法と年金額への影響>
| 老齢基礎年金 | 障害基礎年金 | ||
|---|---|---|---|
受給資格期間 | 年金額への | 受給資格期間 | |
| 納付 | ![]() | ![]() | ![]() |
| 免除 | ![]() | ※ | ![]() |
| 納付猶予 | ![]() | ![]() | |
| 未納 | |||
(株)Money&You作成
国民年金保険料免除申請・納付猶予申請は、ネットでできるようになっています。学生納付特例や産前産後の免除申請もネットでできます。
お手持ちのスマホでマイナンバーカード利用者が使える「マイナポータル」にアクセスし、「年金」→「国民年金に加入する方・加入中の方の手続き」→「国民年金に関する手続き」と進め、該当の手続きを選択しましょう。
マイナポータル画面より作成
4桁のパスワードを入力してマイナンバーカードを読込み、画面の案内に従って必要事項を入力すれば、手続きが完了します。
市区役所・町村役場の国民年金窓口やお近くの年金事務所に書類を提出することでも申請できます。日本年金機構のウェブサイトにある「国民年金保険料 免除・納付猶予申請書」をダウンロード・プリントし、マイナンバーカードまたは基礎年金番号のわかる書類を持って窓口に提出します。
未納の場合は、納付期限から2年以内であれば国民年金保険料を後から納付できます。手元にある納付書を利用してコンビニなどで納付すれば問題ありません。納付書を紛失したなどで利用できない場合は、お近くの年金事務所で再発行を依頼できます。
免除・納付猶予の申請をしている場合は10年以内であれば国民年金保険料を後から納付(追納)できます。
追納をする場合は、「国民年金保険料 追納申込書」を年金事務所に提出すると、後日日本年金機構から納付書が届きますので、それを利用して納付を行いましょう。「国民年金保険料 追納申込書」は日本年金機構のウェブサイトでダウンロードできます。
なお、追納は10年以内であれば可能なのですが、免除・納付猶予の承認を受けた期間の翌年度から起算して3年目以降に追納する場合は、経過した期間に応じた「加算額」が上乗せされてしまうので、可能であれば2年以内に行うのがよいでしょう。
未納の場合は2年、免除・納付猶予の申請をしている場合は10年経過すると、原則として国民年金保険料を後から納付(追納)することができなくなります。ただし、60歳以上65歳未満で一定の要件を満たす場合は、国民年金に任意加入して国民年金保険料を納付することで、将来受取る老齢基礎年金の額を増やすことができます。1年分納付すれば、老後の年金額が年約2万円増加する計算です。
国民年金保険料の未納には、さまざまなデメリットがあります。未納期間があると、将来受取る老齢基礎年金の額が少なくなるほか、一定の要件に該当すると障害基礎年金や遺族基礎年金を受取れない場合があります。また、保険料を滞納したままにすると、最終的に財産の差押さえが行われる場合もあります。国民年金保険料の支払いが難しい場合は、未納のまま放置せず、免除や納付猶予の制度を利用しましょう。
失業などで国民年金保険料の支払いが難しくなった場合は、保険料の「免除制度」や「納付猶予制度」を利用できます。免除制度では所得に応じて保険料の一部または全額が免除され、将来の年金額にも一定割合が反映されます。一方、納付猶予制度は支払いを先送りできる制度で、追納しなければ年金額は増えません。
免除・納付猶予を受けた期間は年金の受給資格期間に算入されますが、未納のまま放置すると受給資格や年金額に不利な影響が生じる可能性があります。支払いが難しい場合は未納にせず、制度を活用し、必要に応じて2年以内の追納を検討しましょう。
高山 一恵
ファイナンシャルプランナー(CFP)
(株)Money&You取締役。中央大学商学部客員講師。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。NHK「日曜討論」「クローズアップ現代」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「マンガと図解 はじめての資産運用」(宝島社)など書籍100冊、累計200万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。X(旧Twitter)→@takayamakazue
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