子育てや子どもの教育をしやすい地域はどこ?(近畿編)
執筆者:ファイナンシャルプランナー(AFP)|佐々木 愛子
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子育てや教育にかかるお金は、きっと皆さんが想像している以上のものです。しかし住んでいる地域によっては、助成金をもらえたり、そもそも無償だったりするものもあります。
地域によって制度が異なるため、これから結婚や出産を機会に家を買う場合には地域選びが重要です。今回は近畿2府4県で、思わず引っ越したくなるような、子どもにやさしい地域サービスをみてみましょう。
妊娠・出産編(おすすめは大阪府池田市、大阪府狭山市)
まず、妊娠すると病院で妊娠の経過が順調かどうかを確認するために14回程度の「妊婦健診」を受けることになりますが、地域サービス格差を真っ先に感じるのが、「妊婦検診」です。妊婦健診費用の助成金は、国から各自治体に「地方交付税」という名目で支給されるため、地方自治体がその使い道を自由に決めることができます。よって、自治体ごとに助成される金額に、大きな格差があるのが現状です。
こちらは府県内の自治体負担額を、平均化したものです。
都道府県名 | 公費負担額(円) |
---|---|
滋賀県 | 104,900円 |
京都府 | 90,730円 |
大阪府 | 111,239円 |
兵庫県 | 88,407円 |
奈良県 | 96,090円 |
和歌山県 | 92,190円 |
- ※ 厚生労働省:妊婦健康診査の公費負担の状況について(平成27年4月1日現在)
こちらを見ていただくとわかる通り、自治体によって2万円以上差があることもあります。
筆者が出産した神奈川県は、何と全国最下位の65,878円。とはいえ、ほとんどの県で10万円前後というのが平均です。
また、出産をすれば、加入している健康保険から「胎児1人につき42万円」が支給されます。双子を出産すれば84万円になります。これには地域格差はなく、全国統一の金額になりますが、自治体によっては、それ以外にも助成があります。
例えば、大阪府大阪狭山市では検診時に利用できるタクシー代を、10回を上限に補助券交付しているようです。
また、大阪府池田市には、自動車大手で知られる「ダイハツ工業」が本拠地を構えています。その関係で民間企業から市へのサービス提供として、「エンゼル車提供制度」が設けられています。
これは、3人目が生まれた家庭に、ダイハツ社は無償で自社の新車(ブーンまたはトール)を3年間リースするというもの。子どもの送り迎えなど、自家用車が欠かせない地域にお住まいの方には、ありがたい制度ですね。
医療費編(おすすめは兵庫県明石市)
住んでいる地域によって格差がある代表的なものが、「医療費」です。子どもが小さいうちは、よく病気をするので、医療費の助成があるとありがたいですよね。
ほとんどの近畿圏の自治体で医療費助成の対象年齢を12歳(小学校6年生)まで、もしくは15歳(中学3年生)までとしています。内容は、入院、通院ともに1日につき支払う医療費は、最大500円で自己負担は月2回までとし、3回目以降の医療費については自己負担額全額助成するというもの。つまり、月の最大自己負担額は1,000円までとなります。
大阪府の場合の自己負担額
区分 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 |
---|---|---|---|---|
一部負担金相当額 | 750円 | 300円 | 650円 | 200円 |
実際のご負担額 | 500円 | 300円 | なし | なし |
これでも十分なサービスかと思うのですが、兵庫県明石市では、15歳(中学3年生)まで入院、通院ともに医療費がまったくかからないという、大盤振る舞いの内容です。加えて所得制限もありません。
育児・教育編(おすすめは大阪府守口市、兵庫県西宮市)
子どもが生まれると、教育費について考える必要がありますが、大学費用や塾代と同様に、教育費の中で最もお金がかかるのが「幼児教育費」、つまり幼稚園や保育園の費用です。待機問題と平行して悩ましいものです。
医療費編で見たように、兵庫県明石市は子どもが15歳になるまで医療費がかかりませんが、同市では、2人目以降の子どもには、保育料もかかりません。所得制限もありませんから、夫婦共に目いっぱい働いて、収入を上げることができます。
大阪府守口市ではひとり目の子どもから、保育料などが今年の4月からまったく掛らない制度になりました。同市は子育て政策に非常に力を入れていて、実質義務教育終了までは、家計にはほとんど費用負担がない制度になりました。
他に育児を助ける制度として、兵庫県西宮市では、子どもの急な発熱など、仕事をどうしても外せない日、ベビーシッターを雇った際にベビーシッター費用を助成しています。
1回につきサービス料の半額、年間4万円の上限はあるものの子育て中の働くママやパパにはうれしい制度です。
小学校に入学すると、共働き世帯に必要になるのが「放課後の見守り」です。これは学童保育と呼ばれていたものです。いまも各小学校に設置されているのが一般的ですが、小学校3年生までの場合が多く、4年生以降は、塾や習い事がない児童は、家にひとりで居ることになります。安全面に加え、子どもにとって周りに人がいないという状況は、メンタル面でもあまり良い事とは言えません。
大阪市では、6年生の卒業までそのサービスを受けることができます。実質無償で、年に500円の管理費がかかるのみです。これは、ボランティアが制度を支えているからのようです。
支援制度が充実している自治体例
サービス名 | 対象 都市 |
対象者 | 内容 |
---|---|---|---|
医療費 無料 |
兵庫県 明石市 |
0歳児~ 中学卒業 まで |
外来・入院問わず 自己負担なし (親の所得制限なし) ※ 食事療養費は対象外 |
保育料 無料 |
兵庫県 明石市 |
2人目以降 | 2人目以降の保育料は、 市内外の保育園、 幼稚園問わず無料 (親の所得制限なし) |
守口市 子ども子育て 支援事業計画 |
大阪府 守口市 |
0歳児~ 5歳児 |
認定こども園、保育所、幼稚園、 小規模保育事業所等の 保育料、授業料 (基本部分)無償 (親の所得制限なし) |
児童いきいき 放課後事業 |
大阪府 大阪市 |
小学校 1年生~ 6年生 |
平日の放課後、土曜日、 長期休業日 (夏休み・冬休み・春休み) 各小学校に活動場所の提供 (年間500円/1人) |
各助成や制度の違いで、捻出できる金額は?
ここまで、一部の自治体を例にあげて、子育てにうれしいサービスを確認しました。
実際に住む地域によって格差があるのが分かりましたが、格差を数字に落とし込んで、考えてみましょう。
例えば子どもにかかる医療費が、月3,000円の場合、サービスが12歳までの自治体と15歳までの自治体では、3年間で72,000円の差が生じる事になります。
- ※ 2,000円×12カ月×3年間
小学校入学前でサービスを打ち切る自治体の場合、その差は21万6,000円です。
- ※ 2,000円×12カ月×9年間
そして、最も大きな差が出るのが、保育料です。自治体によってそもそも差がある保育料ですが、例えば先ほどの大阪府守口市の場合、共働きで所得の多い、夫婦を例に挙げてみましょう。
0歳から子どもを預けていたとします。小学校入学前までにかかる保育料総額は、なんと約500万円にもなります。
- ※ 守口市のHPより、幼児教育保育料(利用者負担額)18等級および2号・3号認定保育園として計算
今回ご紹介した内容のように、自治体には検診に関するものや子どもの医療費、保育費などお金の負担を減らしてくれるサービスが用意されていますが、自治体ごとに「何人目の子どもから」「何歳まで」といった条件が異なりますので、確認するようにしましょう。
受けられる助成も同様に違いがありますので、本記事に掲載した自治体や、それ以外でも、興味を持った自治体があればしっかり調べてみましょう。
今回のまとめ
- 出産や子育てに関する助成金などには、自治体によって異なるので自治体の窓口に問い合わせてみるなど、受けられる助成内容を確認することが大切。
- 待機児童問題など入れる保育園に注意が向かいがちになるかもしれないが、入った後の保育料次第では小学校入学までに約500万円かかることもあるので保育料にも目を向けること。
- 1人目の子どもから受けられるサービスや3人目から受けられるなど、条件にも違いがあるので確認してから住む地域を選びたい。
- 子育て環境から見るおすすめの自治体は、大阪府池田市、大阪府守口市、兵庫県明石市、兵庫県西宮市
- ※ 本ページは2017年12月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。
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