
「人生の3大資金」を指している組み合わせはどれでしょうか?
正解は(2)です。皆さんあっていましたか?
様々なライフイベントの中でも、特に多くのお金がかかる住宅購入、子どもの教育、老後の生活は、人生の3大イベントといわれ、その3大イベントにかかるお金は「人生の3大資金」といわれています。
今回は、人生の3大資金である住宅資金、教育資金、老後資金、それぞれの現状をデータで確認しながら、その資金の具体的な準備方法をご紹介いたします。
住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査(2016年度)」によると、新築で物件別の全国平均購入価格は土地付注文住宅3,954万円、建売住宅3,337万円、マンション4,266万円となっています。
購入する物件の地域によっても価格は違ってきますので地域別の平均購入価格もまとめておきます。
(単位:万円)
土地付注文住宅 | 建売住宅 | マンション | |
---|---|---|---|
全国 | 3,954 | 3,337 | 4,266 |
首都圏 | 4,652 | 3,646 | 4,754 |
近畿圏 | 4,077 | 3,270 | 3,866 |
東海圏 | 4,122 | 2,955 | 3,620 |
その地域 | 3,551 | 2,699 | 3,308 |
出典:住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査(2016年度)」
大半の方が住宅購入に住宅ローンを利用します。そこで住宅ローン借入額をできるだけ少なくして頭金を多くあてるべきかと多くの方が悩まれます。
住宅購入の頭金の目安としてよくいわれるのが「物件価格の2割」。全国頭金平均額は、土地付注文住宅461万円、建売住宅313万円、マンション739万円となっています。
おおよそ購入価格の1割から2割程度を頭金としているのが実態のようです。
データからも頭金の現状は1割前後のようですので、2割の頭金が難しくても、ローンの返済に無理がなければ、それにこだわる必要はありません。皆さんの家計状況に応じて決めていただくための参考にしていただければと思います。
元本割れリスクのある商品を使って、住宅を購入したい時に頭金にあてたかったお金が大きく減ってしまっては住宅購入自体の計画を見直さなければならなくなるかもしれません。勤務先に財形制度があれば財形住宅貯蓄を利用してもいいでしょう。
教育資金は幼稚園から高校までずっと公立に通うと約523万円、ずっと私立に通うと約1,770万円。
教育資金は公立か私立に通うかの選択によっても大きく違ってきます。
以下、文部科学省の「子どもの学習費調査(2014年)」から幼稚園(3歳)から高校までの学習費総額をまとめます。
(単位:万円)
学習費総額 | ||||
幼稚園・公立 63 |
小学校・公立 192 |
中学校・公立 144 |
高校・公立 123 |
522 |
幼稚園・私立 149 |
小学校・私立 922 |
中学校・私立 402 |
高校・私立 297 |
1,770 |
出典:文部科学省の「子どもの学習費調査(2014年)」
高校までの教育資金は毎月の家計から捻出できるようにしましょう。高校卒業後の教育資金準備は早めにコツコツ貯めるのがコツです。
例えば、児童手当を高校入学まで手を付けずにいれば、一人っ子の場合、15年間で198万円貯まります。貯める方法は住宅資金と同じように確実に貯めたいので、まずは積立定期がオススメです。児童手当分のお金を財形で確実に残していくのもいいでしょう。
次に大学の初年度納付金費用をまとめてみます。
(単位:万円)
入学金 | 授業料 | 施設整備費 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
国立大 | 28.2 | 53.5 | - | 81.7 |
公立大 | 39.3 | 53.7 | - | 93 |
私立大文系 | 24.2 | 74.6 | 15.8 | 114.6 |
私立大理系 | 26.2 | 104.8 | 19 | 150 |
私立大医師系 | 103.8 | 273.7 | 83.1 | 460.6 |
出典:国立は文部科学省令による標準額、公立は「2016年度学生納付金調査」、私立は「2014年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額調査」
大学資金は「つみたてNISA」も一部活用してもいいでしょう。つみたてNISAは一定の投資信託で年間40万円までを投資上限に投資ができます。月額約3.3万円です。つみたてNISAの特徴は最長20年間の運用期間があり、運用益には一切税金がかかりません。対象となる運用商品は金融庁の厳格な要件をクリアした、投資初心者にも分かりやすく、低コストで長期運用に向いたシンプルな商品に絞り込まれています。
教育資金準備と聞くと学資保険やこども保険をイメージする方は多いと思いますが、低金利の現状では、貯蓄としての魅力はかなり低くなりました。
但し、投資信託は価額変動リスクがありますし、契約の仕方や商品によっては、満期まで持っていても元本割れをすることもありますのでご注意ください。
総務省統計局の2017年「家計調査」によると、高齢無職世帯の年金等の収入は209,198円、食費等の生活費や・税金社会保険料を含めた支出は263,717円です。結果として、毎月平均54,519円の赤字がでていることになります。
この毎月の赤字額54,519円を仮に65歳から100歳まで35年分計算すると約2,289万円です。よく退職後の安心な貯蓄額の目安に3,000万円といわれますが、今回のデータからも決して的外れな金額でないと感じていただけるかと思います。
まず老後資金を貯める手法としては、節税をしながら老後資金を貯めることができるiDeCo(個人型確定拠出年金)、続いてつみたてNISAの2つがあります。
iDeCoは毎月の掛金が全額所得控除になる節税メリットを受けながら老後資金を準備できるのが最大の魅力です。例えば、年収400万円の人が、iDeCoで毎月2万円積み立てると所得税・住民税合わせて年間36,000円を節税できます。仮に年収がずっと400万円で30年間積立を続けた場合、30年間の節税額は108万円です。
つみたてNISAは、投資によって得られた売却益(譲渡益)や普通分配金が非課税になります。投資から得られた利益に対して、通常20.315%の税金(所得税+住民税+復興特別所得税)がかかりますが、これがかかりません。
例えば、投資信託を運用して10万円の利益が出た場合、2万315円(=10万円×20.315%)の税金を支払うことになり、実際手元に残るのは8万円程度です。つみたてNISAを活用すれば、この税金を支払う必要がないということです。
仮に毎月3万円をつみたてNISAで20年間積立投資をして3%の運用成果が出せた場合、20年後には投資元本720万円は約1,000万円に増えます。
iDeCoに月2万円、つみたてNISAに月3万円を20年間積み立て、3%で運用できれば合わせて、約2,000万円の老後資金が準備できます。
財形年金、個人年金保険等も活用して、老後資金を貯めておくのも良いと思います。
お申込みに際しては、以下の留意点を必ずご確認ください。
寺野 裕子
ファイナンシャルプランナー(CFP)
てらの・ファイナンシャルプランニングオフィス代表 CFP・1級FP技能士、投資助言業
2008年FP相談業務開始。2014年事務所運営スタイルを金融機関等からの紹介手数料等は一切得ず、報酬は顧客からの相談料のみとするフィーオンリーへ移行。「ファイナンシャルプランニングは100人100様」をモットーにライフプランの実行支援を行っている。FP Cafe登録パートナー